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嗅覚が最も原始的な本能に近い感覚であるということは、すでに書きました。

商業的にも「視覚=色」「聴覚=音」ほどは理論化が難しくまだまだ未解明の部分が多いものですが、匂いを色や音と組み合わせることによって、より大きなイマジネーションや衝動をコントロールできるものです。

この分野で初めて私に興味を投げかけてくれたのは、元コーセー化粧品・主任調香師であり「香りの話」という著作もある

宮下忠芳 氏でした。



香料の発生現場は、四大文明の発生現場ぴったり重なる。香水のことを「パヒューム」と言いますが、これはラテン語の「パヒューメ」「パルヒューメ」からきているんです。「パー」というのは英語で言う「スルー」=何なにを通して。「ヒューメ」というのは「煙」のことです。

ですから「煙」を通してやってくるものが香水になるわけです。紀元前4000年ころ、パミール高原のプレ・バラモン教徒たちが神のセレモニーに出席するために、香木をたいて出る煙で身も心も清めた。その香木や香花の産地が聖地になり、四大文明の発祥地と一致するわけです。

インド・中国・メソポタミアなどで香料の原料がとれるんです。日本の場合はずっと遅く、仏教が伝来した時に一緒に中国から輸入された。宗教とともにシルクロードを移動していたわけですね。

王権とか上流階級に珍重され、階級意識と同時に発達した。たとえばワインを例にすると、城にはそれぞれ独特の作り方があって、医者とか半分化学者のような人物が精製法を研究しているわけです。だいたいがお坊さんで、その秘密の製法で作られるワインを「シャルトルーズ」と呼んでいる。

香木をたいて香料にしていたインド、中国の練丹術、その原料から化学的に香り物質を抽出しようという夢をもった西欧の錬金術たちの出現が、今の香料産業の基本的、科学的な事はじめになったわけです。

いろいろな蒸留装置とか実験装置を自分たちで作って研究した。もともと香料と薬は表裏一体で、王様がペストになったときに、バラの花を蒸留してその汁を飲ませたら治ったという話もあっつて、香料には殺菌作用のある物質を含んでいるものもありますから、漢方薬みたいなものだったでしょうね。

(つづく)

テーマ:日記
ジャンル:アダルト
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