2012-02-29 (水)
こんにちは。
とりあえずは習作で一通り書き下してみます。完成した後、手を加えてまとめようと思います。
【秘境列島5(習作)・第一章名古屋にて】
ヒント別冊【秘境列島6(習作)・第一章名古屋にて】
の続きです^^
■
引き戸が開けられ、陽子も良く知っている朱日神社の清水肇が入ってきた。彼は佐藤と共に歴史サークルを作って古文書の研究に取り組んでいる若手の宮司の一人だ。小柄で、ずけずけと物を言う友人の一人だった。
「佐藤さん、来月韓国に行かない?やっぱ一度見ておくべきだよ、高霊山は」清水は甲高い声で言った。「あれ、青山さん、大変だったようだね」
陽子はにっこりと頷く。
佐藤はタバコを灰皿で消して立ち上がった。「岡田君も行くの?」
「彼に言わせれば高皇産霊神(タカムスヒ)は高霊に間に天皇を産むという2文字をいれ込んだだけのものと言うことらしいが」清水がモニターを指差して言う。
彼の場所からはモニターの画面は見えないはずだが、当然岡田のブログを見ているんだろうと言う表情である。「乗り気だったよ。彼は三井寺というか、新羅神社が好きだからね」
北方遊牧民族派の清水は、南方海洋民族派の岡田とはそりが合わないのだが、この分野で精力的に情報発信をしていて著作もある岡田を煙たがっているようである。
「青山君、さっきの話、ちょっと待ってて」
佐藤は、清水と一緒に部屋を出て行った。禰宜の部屋は佐藤の部屋の向かい隣にある。佐藤よりも古参の藤村禰宜は、実質この神社を切り盛りしていて、普通の会社の総務経理室と言った印象だった。
陽子は、タバコのにおいのする佐藤の部屋で、一人で冷めたコーヒーを飲んだ。猫舌の彼女は冷めたブラックコーヒー好きだった。
佐藤宮司の部屋は30平米ほどのほぼ正方形の作りである。その部屋はもともとは書庫で、先代の畑岡宮司が使用していた藤村の部屋の半分くらいの面積しかない。
陽子が聞いた話では、佐藤がこの神社に来たとき、彼は書庫にこもりっきりで、いつのまにかここにデスクと応接を置いてここに居座った、ということのようだった。
佐藤の部屋は、無愛想なスチール製の事務棚が全ての壁を覆っていて、この神社に伝わる古書と専門書がぎっしり押し込まれていた。デスクは二つあって、一つにはパソコンが二台載っている。
異質なものとしては、渦巻文装飾付鉄剣のレプリカがガラスケースの中に一対置かれている。壁はほとんど見えないが、窓と反対側の入り口のドアノブある壁に、マン・レイ の写真が一枚貼ってある。佐藤から写真の話を聞いたことは無いが、彼はそれが好きなのだろう。
デスク脇のスチール製のガラスの中には、並んだ本のわずかなスペースに、色々なものが置かれてあった。それは全く不統一で脈絡が無く、奇妙なものばかりだった。
マヤのものと思えるカレンダー、マルセル・デュシャン の小さなオブジェ、スキタイの馬に乗った土偶、ブランクーシ の小さな彫像、四谷シモンの人形、いつの時代のものともわからない中国の翡翠・・
これらの共通点は二つあった。一つはどれも神社の仕事とは全く関係のないものであるということ。もう一つはどれも陽子が好きなものであるということである。
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「佐藤さん、来月韓国に行かない?やっぱ一度見ておくべきだよ、高霊山は」清水は甲高い声で言った。「あれ、青山さん、大変だったようだね」
陽子はにっこりと頷く。
佐藤はタバコを灰皿で消して立ち上がった。「岡田君も行くの?」
「彼に言わせれば高皇産霊神(タカムスヒ)は高霊に間に天皇を産むという2文字をいれ込んだだけのものと言うことらしいが」清水がモニターを指差して言う。
彼の場所からはモニターの画面は見えないはずだが、当然岡田のブログを見ているんだろうと言う表情である。「乗り気だったよ。彼は三井寺というか、新羅神社が好きだからね」
北方遊牧民族派の清水は、南方海洋民族派の岡田とはそりが合わないのだが、この分野で精力的に情報発信をしていて著作もある岡田を煙たがっているようである。
「青山君、さっきの話、ちょっと待ってて」
佐藤は、清水と一緒に部屋を出て行った。禰宜の部屋は佐藤の部屋の向かい隣にある。佐藤よりも古参の藤村禰宜は、実質この神社を切り盛りしていて、普通の会社の総務経理室と言った印象だった。
陽子は、タバコのにおいのする佐藤の部屋で、一人で冷めたコーヒーを飲んだ。猫舌の彼女は冷めたブラックコーヒー好きだった。
佐藤宮司の部屋は30平米ほどのほぼ正方形の作りである。その部屋はもともとは書庫で、先代の畑岡宮司が使用していた藤村の部屋の半分くらいの面積しかない。
陽子が聞いた話では、佐藤がこの神社に来たとき、彼は書庫にこもりっきりで、いつのまにかここにデスクと応接を置いてここに居座った、ということのようだった。
佐藤の部屋は、無愛想なスチール製の事務棚が全ての壁を覆っていて、この神社に伝わる古書と専門書がぎっしり押し込まれていた。デスクは二つあって、一つにはパソコンが二台載っている。
異質なものとしては、渦巻文装飾付鉄剣のレプリカがガラスケースの中に一対置かれている。壁はほとんど見えないが、窓と反対側の入り口のドアノブある壁に、マン・レイ の写真が一枚貼ってある。佐藤から写真の話を聞いたことは無いが、彼はそれが好きなのだろう。
デスク脇のスチール製のガラスの中には、並んだ本のわずかなスペースに、色々なものが置かれてあった。それは全く不統一で脈絡が無く、奇妙なものばかりだった。
マヤのものと思えるカレンダー、マルセル・デュシャン の小さなオブジェ、スキタイの馬に乗った土偶、ブランクーシ の小さな彫像、四谷シモンの人形、いつの時代のものともわからない中国の翡翠・・
これらの共通点は二つあった。一つはどれも神社の仕事とは全く関係のないものであるということ。もう一つはどれも陽子が好きなものであるということである。
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