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祐一は品川駅で万友美 の父とおちあった。義父の方が先についていて次の新幹線の切符を買っておいてくれていた。

「これが安曇の家の番地と地図だ。なにしろあのあたりにはずいぶん行っていないし、新しい道などができているかもしれないから、大変かもしれん」。

アメーバ・マスターズ の力を総動員してでも探します」

祐一 は切符とメモを受け取っていった。義父は祐一が財布を出しかけたのを見ると、その手を押さえつけるようにして、金はいいといった。

「二人が円満にやっていたのは、私もよく知っている。万友美にも税金の滞納以外、今の暮らしに不足はなかったようだ。だから突然いなくなるなんて考えられないが、とにかくこうなってしまった」

義父はそこで言葉を切り、かすかに頭を下げて見せた。

安曇家というのは、亡くなった義母さんの実家になるわけですか」

祐一は少し口ごもりながら聞いた。

「そうだ。あれは万友美が8つの時に死んだ」

「なぜ万友美だけ、そのおじいちゃんと往来していたのでしょう」

「あの子が一人で旅ができるようになってからのことさ。それ以前に私と安曇家は、妻が死んでからいったん縁が切れた様になっていたから、あの子が一人で関係を復活させたようなものだよ。おじいちゃんも独り身でさみしくなっていたのだろう。たいへん可愛がってくれたようだ」

祐一は義父からもらったメモを見た。

安曇信弘・・」

「そうだ。たしか今年でちょうど80歳になるはずだ」

「福岡県宗像市・・」

「うん。宗像大社の近くだ」

祐一はもっと義父から聞いておくべきことがあったような気がしたが、新幹線の来る時間になっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その家は何もかも小ぶりにこしらえてあるような感じであった。しかしそれでいて柱などは十分に太く、やや薄暗いが重厚な雰囲気を醸し出している。

室内には良質な香の匂いが隅々まで深くしみ込んでいるようだった。その匂いは新幹線とタクシーを乗り継いでやってきた祐一には、欲にまみれた全身の肌にしみとおるように感じられたのであった。

万友美の祖父にあたるというこの老人は、長い沈黙の中で茶を立てていた。祐一をこの家へ招き入れてから、まだ一言も口をきいていない。その部屋のその場所に祐一を座らせて、長い時間姿を見せなかった。そう広くはない家なのに、老人が立ち動く姿は全く聞こえず、祐一は予想もしなかった深い静けさの中に身を沈めることとなった。



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