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嗅覚が最も原始的な本能に近い感覚であるということは、すでに書きました。

商業的にも「視覚=色」「聴覚=音」ほどは理論化が難しくまだまだ未解明の部分が多いものですが、匂いを色や音と組み合わせることによって、より大きなイマジネーションや衝動をコントロールできるものです。

この分野で初めて私に興味を投げかけてくれたのは、元コーセー化粧品・主任調香師であり「香りの話」という著作もある

宮下忠芳 氏でした。



ツタンカーメンの墓の中に何千年も眠っていた樹脂の匂いのように、分子量の重いものは、長く残ります。

逆に分子量の少ない物質は最初に匂ってくる。ストリベリーとか葉の中にある青葉アルコールと言われるシスサンヘキセノールとか、ある種のアルデヒドと呼ばれているもの。

これら最初に出てくる匂いというのは、自然界にそのままあるものばかりなんです。

草の匂い、花、果物、柑橘系やスパイシーな匂い。グリーンな匂い。シトラスというレモンやオレンジを食べた時に感じるもの。

アルデヒドというのは、お母さんの膚の匂いです。

香水のトップモードには、これら自然界にある青い葉っぱや大気のオゾンの匂いといった分子量の軽いものが組み込まれているんです。

これが、最初に蓋を開けた時に誰もがなつかしい、いい香りだと思う原因で、香水作りのミソです。

安心感のある、幼い頃を呼び起こす匂いです。

それから匂ってくるものがより人工性の高いものに移っていって、最後に保留性の高い、分子量の大きい、動物系の匂いとか樹脂系のものになる。この匂いというのは、セクシーな、非常に人間の官能に訴える性格を持ったものです。

中間のミドルモードの調合で多種多様な香水が出来上がるわけで、ちょうどモナカのように上下のかぶさるものが決まっていて、中のアンコでいろいろ味つけするわけです。

こんなふうに、幼いころから大人の世界まで、一つのストーリーに仕上げて香水にするのが調香師の仕事です。

情緒を司どり、使う人にとって、ものすごく夢のある感動的要素が出来上がる。

(つづく、かどうか)

テーマ:日記
ジャンル:アダルト
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